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上前津

【利用者ブログ】中部地区の公共交通 樽見鉄道樽見線

2024.09.26

こんにちは、名古屋市中区にある就職に強い就労移行支援アクセスジョブ上前津です。(在宅支援も充実!)

今回もWebライティングで利用者さんに書いていただいた記事を紹介させていただきます。
なかなか気合の入った、画像も豊富な記事になります!


中部地区の公共交通 樽見鉄道樽見線

~西濃に咲く悠久の桜と短い車両で走る鉄道の魅力~

1. 薄墨桜と樽見鉄道 ~悠久の桜と短い列車~
岐阜県本巣市の根尾には、樹高17.3m、幹回9.4mの大きなエドヒガン種の一本桜が植えられています。

この桜は「薄墨桜」といい、樹齢1500年以上の古木で、国の天然記念物に指定されており、福井県境に近いにも関わらず、開花のシーズンには、多くの花見客でにぎわいます。

そんな薄墨桜ですが、伊勢湾台風の大きな被害を受けた際には、一時期は枯死する可能性もありましたが、桜を思う人々の試みにより、薄墨桜の子孫樹は国内だけでなく、海外まで植樹されました。種に関してはスペースシャトルに積載され、宇宙に向かったものもあります。

そんな薄墨桜の本巣市根尾地区まで、樽見鉄道という会社が大垣市からこの樽見駅まで、1両編成の短い列車が60分ほどで結んでおり、花見の季節には多くの人で賑わいます。
そんな樽見鉄道も一時期は廃線の危機もありましたが、延線住人がNPOを設立し、ボランティアで鉄道存続に貢献する事により、今日まで走り続けています。 今回は薄墨桜の様に、多くの人々に支えられている樽見鉄道について紹介します。

2. 路線データ
起点    大垣駅
終点    樽見駅
駅数    19駅
路線総延長 34.5km(樽見線)
軌間    1067㎜
電化    全線非電化(気動車[1]により運行)
運行速度  65㌔
主要株主  西濃鉄道[2]50.8%
      住友大阪セメント24.0%
      岐阜県12.0%
      大垣市7.0%
      本巣市3.0%

3. 樽井鉄道の歴史
敷設計画から国鉄大垣駅~美濃神海駅間の開業まで

樽見鉄道は、同県で運行されている長良川鉄道[3]や明知鉄道[4]と同様に、元々は国鉄の地方路線として誕生しました。

樽見線は「岐阜県大垣市から福井県大野市を経由して石川県の金沢に至る鉄道」を目的に、その一部区間として建設をされました。

1935年建設工事に着手。
しかし、1941年の太平洋戦争中は工事が一時中断します。(1952年再開)
1956年3月 国鉄大垣駅~谷汲口駅間が開業(21.7㎞)
工事開始から21年後、ようやく開通します。

1958年4月谷汲口駅~美濃神海駅[5]間(2.3㎞)まで延伸します。

1970年11月 日本鉄道建設公団[6]により、樽見までの延伸工事を開始します。
しかし、順調に延伸できたのは美濃神海駅まででした。
ここから先は、日本最大の活断である根尾谷断層が行く手を阻みます。

美濃神海から樽見間の敷設は難工事となります。
また、この頃の国鉄は赤字体質を変える為に、大幅な改革を打ち出します。
1980年国鉄再建法が公布されます。
上記の法律により、樽見線は廃線対象になります。
1981年延伸工事は凍結、同年の9月には工事が中止となりました。
この頃、延線工事は7割ほど完成していましたが中断します。

国鉄継承後の樽見線 ~長年の目標をついに達成させた短い鉄道~
国鉄樽見線は1979年時点で営業係数[7]が392[8]と赤字路線であり、また盲腸線[9]であった事から廃止対象とされました。

沿線では通学と貨物輸送の観点から、第三セクターとして路線存続を選択します。
主な株主は大垣市に本社を置く西濃鉄道と、樽見線の大垣~本巣間をセメント輸送[10]で使用していた住友セメントです。

1984年2月第三セクターとして樽見鉄道は再出発します。

樽見鉄道は貨物輸送の収益と旅客収入で黒字収入を出しており、国鉄から離れた当初は第三セクターの優等生と呼ばれていました。

潤沢な黒字収益を受け、樽見鉄道は1986年に延線工事を再開します。
そして時代は流れて、年号が昭和から平成に改元された頃、その時が訪れます。
1989年神海~樽見駅間の延線工事が完成します。

しかし、この延線開業による運営経費の増加が樽見鉄道の経営に影響を与えます。
また、道路事情の改善が新たな問題として樽見鉄道を悩ませます。

1991年3月 JR東海キハ85系列車の2両編成が樽見線で試運転を行います。

2002年4月織部駅が開業。
しかし、貨物と旅客輸送の減少に加え、営業距離の増加による経費の増大が、徐々に樽見鉄道の経営を圧迫します。

岐阜県は以前まで樽見鉄道が黒字収益であったことから、第三セクターに対する欠損補助の運用基金を設定していませんでした。
その為に、民間NPOが立ち上がり、樽見鉄道の支援に動き始めました。

NPO支援後の樽見鉄道~薄墨桜の様に長く続く事を目指した短い鉄道と人々の取り組み~

2003年「樽見鉄道を守る会」が設立されます。同団体は沿線住民や団体に募金を呼びかけ、それをもとに車両シートやカーテン、枕木の交換費用に充てました。
また、人件費を抑える為に、車両シートやカーテンの張替え作業は高校生を含む沿線住人がボランティアで行いました。
枕木には応募者の名前が入ったプレートを設置する「枕木オーナー制度」を導入しています。
この支援で230万円以上の経費が削減されました。

2006年3月貨物輸送が廃止、樽見鉄道は大きな収入源を失います。
同年4月 本巣市三橋に開業する大型商業施設「モレラ岐阜」の最寄り駅として、モレラ岐阜駅を開業し収入増を図っています。
他にもイベント列車の運行による収益増も行なっています。
また、運賃の値上げや経費削減といった経営改善も行っています。その結果、徐々に赤字額は減少し、延線自治体からの支援は続いています。
2015年4月樽見鉄道は17の無人駅に、18人の「市民駅長」を任命します。これは、地域社会に樽見鉄道の経営を一緒に盛り上げて貰うのが狙いで、任命されたボランティアの市民駅長は駅の清掃や手入れ、乗降客の案内を任期の2年間行います。

樽井鉄道の取り組みとして観光列車「ねおがわ」の運行

観光列車「ねおがわ」は、土日や祝日等に本巣駅~樽見駅間を運行する定期列車であり、予約と乗車料金が不要で、自由席でいつでも乗れるのが魅力です。
車内では運転士の方が根尾川橋梁などの10の絶景スポットを、徐行運転するだけでなく、延線紹介も行っています。
車内設備もこだわりがあり、つり革は根尾川の清流に生息する鮎をモチーフにしています。

イベント列車の運行
薬草列車(9~11月)旬の山菜や薬草を使用した弁当を乗車して食事します。
しし鍋列車(12月~3月)ぼたん鍋と季節の料理を乗車して食事します。

サイクルトレイン(7~8月)自転車を持ち込める列車が運行されます。(要予約)
車両の貸し切り(随時受付)列車を1車両借りる事が出来ます。

鉄道グッズの販売
この他にも様々なイベントや試みが有りますが割愛します。

上記の様に樽見鉄道は鉄道に関わる人々が、社員や沿線住人の垣根を越えて存続の為に努力を続けています。

最後に~樽見鉄道に乗ってみよう。

樽見鉄道にはまだまだ、書ききれない程の魅力があります。
樽見鉄道の沿線には、薄墨桜だけではなく、根尾川の清流に育まれた川魚を提供する飲食店、大型ショッピングモールのモレラ岐阜、国の特別記念物である根尾谷断層が見れる根尾谷地震断層観察館があります。

ぜひ一度、樽見鉄道に乗車してみてはいかがでしょうか


[1]軽油を燃料としたディーゼルエンジンで動く鉄道車両を言います。
[2] 岐阜県大垣市で貨物鉄道を運営する会社、西濃運輸と一切関係は無い。
[3] 国鉄の越美南線として開業(岐阜から九頭竜湖を経由して福井まで計画)
[4] 国鉄明智線として開業(遠美線として稲武(愛知)を経由して掛川(静岡)まで計画)
[5] 現在の神海駅(第三セクター移管後に名称を変更する。)
[6] 鉄道建設事業を行っていた国交省管轄の特殊法人(2003年に解散)
[7]100円の収入を得るのに、どれだけの費用を要するかの指数、100以上は赤字
[8]100円の収入を得るのに392円の経費が掛かっている(情報の出典は不明)
[9] 終点が他の鉄道と接続していない路線のこと(盲腸に見える事から命名)
[10] かつては本巣工場から樽見駅まで線路が敷設されていた。(現在は撤去済み)


大好きな鉄道、樽見鉄道樽見線について熱くまとめていただきました。
書いていく中でいろいろとお話も聞かせていただきました。

魚のつり革が可愛いので、いつか乗ってみたいです。

今後も利用者さんに書いていただいた記事を紹介していきたいと思っております。

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