コラム「障がい」と「仕事」
適度な自己開示で
職場のコミュニケーションを円滑にしよう
2023.11.20
皆さんこんにちは。
アクセスジョブ四ツ橋利用者のKです。
前回のコラムから、職場の人間関係、コミュニケーション法を私なりに書き綴っています。
突然ですが、皆さんは職場や学校で自分のことを正しく発信できていますか❓
自分のことについて伝えたいけど、つい遠慮してしまう。
反対に、自分のことについてオープンにしすぎて失敗した。
そんな経験をお持ちの方もいると思います。
ちなみに私はどちらも経験があります。
障がいを持つ人に限らず、「自己開示」という自分のことを伝える行為は難しいものです。
しかし、適度な自己開示は職場でのコミュニケーションにとって不可欠です。
今回は、「適度な」自己開示をどのように行うのか、またその注意点などを紹介します。
「自己開示」とは
自己開示とは、自分自身に関する情報(気持ち、考え方、経験など)を言葉によって伝えることを指します。
「自己紹介」と似ているようですが、自己紹介がプロフィールを通じて他人に自分を知ってもらうのに対して、自己開示は他人により深く自分自身を理解してもらう行為です。
また、「自己呈示」や「自己顕示」とも異なります。
「自己呈示」は意図的に行われ、しぐさや態度のような言葉以外の行動も含みます。
一方、「自己開示」は意図的であるか否かに関わらず、言葉を通じて自分自身を伝える行為です。
「自己呈示」や「自己顕示」には「自分をよく見せよう」などのイメージコントロールの意図が含まれますが、「自己開示」は率直に「ありのままの自分」をさらけ出す、というニュアンスを含む言葉です。
自己開示のメリット
それでは、職場において自己開示のメリットとはなんでしょうか❓
ここでは、その一例を紹介していきたいと思います。
人間関係を構築できる
自己開示を行うことで、お互いの人となりや価値観を知ることができます。
そこで共通の話題や共感できる部分が見つかると、相手に対する警戒感が薄れ、心理的な距離を縮めることができます。
仕事もうまくいくかも。
自己肯定感が増し、自分に対する自信が生まれる
自分の自己開示を受け止めてもらえると、「自分を理解してもらえた」と感じ、自分に自信が生まれるなど、仕事をる上でポジティブな気持ちを持つことができます。
「自己開示」の方法
それでは、自己開示をどのようにおこなえばいいのでしょうか❓
その一例やポイントを紹介します。
自分から自己開示する
相手から自己開示をされると自分も同じ程度の開示をしよう、という気持ちが働くことがあります。
この性質は「自己開示の返報性」と呼ばれ、自己開示をする際の重要なポイントになります。
仕事上だけに限りませんが、相手と打ち解けたいときは、すすんで自分のほうから自己開示をするようにしましょう。
軽い話題から始めよう
とはいえ、いきなり家庭の事情や重大な悩みごとなど、重い話題を開示されたら相手は驚いてしまいます。
また、そういった話題は職場で開示する必要がある話題として適切か、といった問題もあります。
まずは今日の天気のような雑談や、趣味の話題など、軽い話題から初めて、そこから自分の大切にしていることや考え方などに進んでみましょう。
相手が開示したら反応を返す
相手のほうから自己開示を受けたら、共感した部分や良かったところを伝えてみましょう。
相手は自分の考えを受け止めてもらえたことにうれしくなり、より打ち解けられるでしょう。
自己開示の注意点
このコラムのタイトルにある通り、適度な自己開示は職場の人間関係やコミュニケーションを深めるのにとても有効です。
しかし、「適度な」とある通り、適切な状況や程度を見極めないとかえって悪影響を及ぼすことになります。
自分が自己開示を行うとき、あるいは相手に自己開示を促すときに留意すべき点を説明します。
無理はしない
開示したくない相手や、伝えたくない内容について、無理に話す必要はありません。
無理に話すことで、「知られたくないことを知られてしまった」と感じ、以後のコミュニケーションに支障をきたしたり、かえって自己肯定感が下がってしまったりする結果に繋がることがあります。
そういった状況になった場合は、それとなく話題を変えるか、人間関係に支障をきたさない程度にやんわりと断りましょう。
また、相手に自己開示を求める際も無理に答えを求めないようにしましょう。
こちらが一方的に話すのではなく、相手の反応を見ながら、お互いにやり取りしていきましょう。
少しずつ段階を踏む
「軽い話題から始めよう」でも触れましたが、特に初対面や知り合って日の浅い相手に重い内容の自己開示を行うと驚かれてしまいます。
場合によっては、「自分についての重要な話題をペラペラ話してしまうのだから、職務上知り得た情報も簡単に話してしまうかもしれない」とかえって警戒感を持たれることにも繋がりかねません。
職場で自己開示を行う際は、仕事に関係ない雑談からほんの少しずつ、様子を見ながら始めていきましょう。
開示する相手や話題はよく見極める
自己開示は誰にでも何でも話せばよい、というものではありません。
自己開示というのは自分のプライベートや内面を明らかにしていく行為でもあるので、相手や内容によってはリスクが伴います。
以前の職場で、「ここだけの話、○○さんってどう思う❓」と上司についてどう感じているか自己開示を促されたことがありました。
わたしは開示を促してきた人をあまり信頼していなかったので最初は答えるのを渋っていたのですが、その人との関係が悪くなるのを恐れてつい開示してしまいました。
すると、開示を促してきた人がその内容を上司に話してしまい、関係が悪くなってしまったことがありました。
またあるときは、こんな経験もあります。
入ったばかりの職場に打ち解けようと自己開示をしていたら、つい自分の深いプライベートのことまで話してしまったことがあります。
後々、そのプライベートのことについて度々からかわれるようになり、不快な思いをするようになったこともありました。
自己開示とは、自分自身に関する情報(気持ち、考え方、経験など)を言葉によって伝えることですが、話す相手や話題についてよく見極める必要があるな、と感じた出来事でした。
適度な自己開示で職場のコミュニケーションを円滑にしよう まとめ
今回は、職場の人間関係を円滑にし、質を上げる手段の一つとして適度な自己開示を提案しました。
実際に、職場で行う自己開示はそこまで深い内容である必要はありません。
仕事や職場に対する考え方や思いといった内容でも充分深い内容です。
また、開示する相手にも注意して、信頼感を抱いている人に開示するようにしましょう。
「雑談から、といっても何から始めればよいのかわからない」
「何をどの程度話せばよいのかわからない」
「そもそも自分のことを話すのが怖い」
そんな感想を抱いた方も多いと思います。
就労移行支援では、コミュニケーショントレーニングやソーシャルスキルトレーニング(SST)などを通じて、職場での人間関係を築く方法を練習する場が整えられています。
障がいを持っているので職場になじめるか不安のある方は、就労移行支援を利用してみるのも一つの方法ではないでしょうか。
参考文献
社会心理学小辞典[増補版] [書籍] / 著者 古畑和孝、岡隆 編. – 有斐閣, 2002.
心理学辞典 [書籍] / 著者 中島義明ほか 編. – 有斐閣, 1999.
人が心を開くとき・閉ざすとき 自己開示の心理学 [書籍] / 著者 Y・Jダーレガほか 斉藤勇(監訳). – 金子書房, 1999.
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筆者プロフィール
就労移行支援アクセスジョブ四ツ橋:ご利用のK氏(現在は就労中)
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📢次回は11/27(月)「アサーションを通じて職場で自分を表現できるようになろう」を掲載予定です。
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