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コラム「障がい」と「仕事」

【障がいと仕事】職場でのコミュニケーション術

2024.06.03

こんにちは。6月になり、雨の日が増えている地域も多いのではないでしょうか。
今回のコラムは、「コミュニケーション」をテーマにお届けします。

職場でのコミュニケーション術をご紹介します

就労支援でいろいろなかたからお悩みをうかがうと、「コミュニケーションが苦手」という声を多く聞きます。

また、就職後に職場でどのように雑談をしたらいいかわからない会話が盛り上がらない、というご相談も多いです。

そこで今回のコラムでは、精神疾患のある方向けの「職場でのコミュニケーション術」をご紹介します。コミュニケーションに苦手意識をお持ちのかたにとって、職場で会話が弾み、生き生きと会話が進められるヒントになればと思います。最後までお読みいただけたら嬉しいです。

< 目次 >

  1. 職場でのコミュニケーションのメリット
  2. 精神障害の特性別、コミュニケーションの課題
  3. 職場でコミュニケーションをうまくとるための工夫
  4. まとめ

そもそもコミュニケーションはなぜ必要なのでしょうか。職場は仕事をする場所ですから、「仕事さえきちんとしていれば、それでいい」という考え方もあります。

ですが、コミュニケーションを適切にとることには、様々なメリットがあります。

①業務効率の向上

コミュニケーションによって業務が効率化するイメージ

コミュニケーションを円滑に行うことで、情報の共有やタスクの調整がスムーズになります。これにより、業務の効率が向上し、仕事がしやすくなります

②チームワークの強化

チームワーク

仕事自体は一人でおこなうことだったとしても、実際は複数の人たちで一つの仕事を分担して進めている場合も多いです。また、違う担当をもっているとしても、それぞれの動きを理解することも大切です。

社内のコミュニケーションを通じて、部署やチーム内のメンバー同士が理解を深め、協力し合うことができるようになります。コミュニケーションをとることで良好なチームワークが生まれ、働きやすい環境を作っていくことができるのです。

③信頼関係の構築

職場でのコミュニケーションによって、上司や同僚との信頼関係を築けます

適切なコミュニケーションを通じて、上司や同僚との信頼関係を築くことができます。信頼関係があれば、相談がしやすくなり、結果としてあなたにとって安心して働ける環境が整ってきます。また日ごろからコミュニケーションをとっている上司や同僚の意見やフィードバックは、すんなりと受け入れることができるものです。周囲からの助言を肯定的に受け止めることで、あなたの成長にもつながります


このように、職場でのコミュニケーションが円滑におこなわれると、業務効率があがって仕事がしやすくなるだけでなく、人間関係が良好になり、誤解やトラブルが少なくなります。これによりストレスが軽減され、仕事に行くのが楽しくなります。結果として仕事へのモチベーションも向上します。コミュニケーションのメリットは大きいと言えますね。

「コミュニケーションが大切なのはわかっているけど、障害の特性上うまくいかない」というお話が多くあります。例えば、このようなお困りごとをよくお聞きします。

障害特性上コミュニケーションがうまくいかないという方が多いです

①不安や緊張が強いというかた

会話や集団でのコミュニケーションが苦手で、自己表現が難しい場合があります。不安や緊張から人前で話すことや他人との関わりを避けたくなります。(社交不安障害など)

②感情表現が苦手なかた

感情の表現が苦手で、意思疎通や相手の感情を読み取ることが難しく、適切な反応や行動が取りづらい場合があります。(自閉スペクトラム障害など)

③集中力に課題があるかた

集中力が低く、話を聞くことや相手の話に対する適切な反応が難しい場合があります。行動が衝動的で、相手の話を遮ったり途中で話題を変えたりすることがあり、相手から良好な反応が得にくくなります(注意欠如多動性障害(ADHD)など)

特性上、コミュニケーションがうまくいかないという方が多くいます。

④感情のコントロールに課題があるかた

気分の変動が激しく、相手の言動に気持ちが左右されてしまうことがあります。感情の起伏が大きいため、適切な反応や表現が難しくなる場合があります。(うつ病、双極性障害など)

⑤現実感覚の歪みがあると診断されているかた

認知機能の障害により、適切な言葉遣いが難しくなり、他者とのコミュニケーションが不安定になる場合があります。(統合失調症など)

コミュニケーション能力

上記以外にも精神障害にはさまざまな特性があるため、コミュニケーションに影響を及ぼす場面は多岐にわたります。また、体調に波があるという方も多く、コミュニケーションがうまく取れる時とそうでない時の差が大きいというケースもあります。

人それぞれに課題が異なりますので、一人ひとりに合わせた対処や工夫が必要になります。職場でのコミュニケーションをうまくとるための工夫をいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

①とにかく挨拶

朝の気持ちのいい挨拶はコミュニケーションの基本

職場でのあいさつはコミュニケーションの基本で、良好な職場環境を築くために必要不可欠と言えるでしょう。

顔を上げて「おはようございます。今日もよろしくお願いします」という明るい一言で一日が始められるといいですね。笑顔や声のトーンにも気を配ると、あいさつがより温かく、相手にとって親しみやすいものになりますあいさつは人間関係構築の大きな一歩になります。

「挨拶を返してもらえなかったらどうしよう」「この人は前に挨拶した時に、印象が悪かった」とあれこれ考えてしまうかもしれませんが、返してもらえなかったとしても、それはあなたが嫌われているからではなく、たまたま聞こえなかっただけその方の声が小さくてこちらが聞き取れなかっただけ、と考えて、気にしないことが大切です。前に印象が悪かったというのも同様で、「たまたまその時にそうだっただけ」と受け止めるようにしましょう。

②積極的な聞き手(聞き上手)になる

積極的な聞き手になるには、穏やか笑顔で相づちをうつなどのリアクションが大切です。

積極的な聞き手、つまり聞き上手ということです。聞き上手になるには、相手に関心を示すことが重要です。相手の話に集中し、しっかり話を聞きましょう。

話を聞く時、頷いたり相づちを打つと、相手は自分に関心を持ってもらえていると感じます(非言語的なサインといいます)。相手が話している途中でも適度に頷き、積極的なリアクションを示しましょう。もちろん、リアクションが「やりすぎ」にならないように気を付ける必要はあります。

感情表現が苦手な場合は、怒ったようにさえ見えなければ、あまり気にせずに、リラックスして話を聞ければ、自然と穏やかな表情になります。

③「オープンクエスチョン」で質問

聞くだけでなく質問をすると会話がはずみます。

聞き上手と言っても、ただ聞くだけというわけにはいきません。質問を投げかけることで、相手の話を深掘りし、理解を深めることができます。当然相手も「興味を持ってもらえた」と感じて、喜んで答えてくれるため、会話が盛り上がります

この時の質問は、できれば「オープンクエスチョン」にするのがおすすめです。オープンクエスチョンとは、「はい」「いいえ」だけで答えが終わってしまう質問ではなく、相手が自由にこたえられるような質問です。

例えば「どの部分が特に興味深いと感じましたか?」や、「具体的にはどういうものですか?」など、相手の話しの具体性を聞くような質問をすると、相手は自分の話したいこと、話しやすいことを自由に答えることができます。

オープンクエスチョンは相手が自由に答えられる質問。

しかし「なぜ?なぜ?」と理由ばかりを質問することは、実は深堀することとは違います。深堀りではなくただ「あちこちを掘っているだけ」になってしまうので、相手が疲れてしまうかもしれません。また理由ばかりを続けて質問するのも、尋問のようになってしまい、むしろ相手を不快にさせてしまう可能性もあります。

「例えばどんなものですか?」「このほかにもありますか?」など、「なぜ」「どうして」以外の質問で相手の答えを引き出して会話を広げていけると良いですね。

自分が聞きたいことだけを次々に聞くのではなく、相手の答えを聞き、それを受け止め、そこから次の質問や自分の考えを言えると話が深まり、会話が弾んでいる状態になります。

④肯定的な感想や共感を伝える

肯定的な感情や共感を伝えると、相手が話しやすくなります。

集中力がもたなかったり、緊張したりして、質問が思いつかないという方もいると思います。その場合は、相手の話に対して、肯定的なコメントや共感の表現をすることで、相手が話しやすくなります。例えば、「それは素晴らしい考えですね」「私も同じように感じました」などです。人は「受け入れてもらえた」と思うと安心し、嬉しくなります。共感を示すだけでも、相手との関係性は良好に向かうでしょう。

⑤上司や先輩、支援員などのサポートスタッフに相談

うまく話すきっかけがつかめないなど、困っているときは周囲に相談するのもひとつです。

どうしても周囲とうまく話せない、きっかけすらない、という場合は、周囲のかたに相談してみるのもひとつです。特に何か困りごとや課題がすでにあるという場合、悩みが大きくなる前に相談をしましょう。

何か誤解があってうまく話せなくなっているという場合もあります。第三者に入ってもらうことで解決することは少なくありません。また、会話のきっかけがないという場合は、そのような機会作りをサポートしてもらうこともできるかもしれません。頼れるかたと一緒に社内イベントやランチに行くなども、良い機会になるでしょう。

職場でのコミュニケーションがうまくいくと、メリットが大きいです。

コミュニケーションは苦手意識を持つ方が多く、障害の有無にかかわらず完璧という人の方が少ないのではないでしょうか。しかし、コミュニケーションがうまくとれることのメリットが大きいのも事実です。

また障害特性は人それぞれですし、職場の雰囲気もそれぞれに違うため、残念ながら、「これ!」という改善策は一つではありません。

今日ご紹介したコミュニケーションの工夫のポイントは、職場に限らず、いろいろな場面でのコミュニケーションに活用していただけると思います。

どうしても質問を考えるのが難しいというかたは、無理せずに静かに頷くだけでも十分です。また、雑談はハードルが高いというかたは、仕事上の報連相(報告・連絡・相談)に限定して、必要最低限のコミュニケーションに注力する、ということでもいいと思います。

負担の少ないものや取り入れられるものから試していただいて、皆さまの日々のコミュニケーションにお役立ていただければ幸いです。

職場でのコミュニケーションをうまくとれるようになると、メリットがたくさん

▼筆者プロフィール

筆者紹介:アクセスジョブコラムライター「やや」です。#定着支援員 #ジョブコーチ #企業向け研修 #面談力 #とりあえずやってみる

📢 次回は7/1(月)掲載予定です。

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