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コラム「障がい」と「仕事」

【障がいと仕事】職業準備性を高めて人生を豊かに

2024.07.22

こんにちは。

以前こちらの記事で「働く前のスキル」についてお話しさせていただきました。

今回は、その為の指標となる「職業準備性(就労準備性)ピラミッド」について、下記の流れでお話ししたいと思います。

  1. 職業準備性(就労準備性)とは
  2. 職業準備性を就労移行支援ではどのように考えているか
  3. 職業準備性ピラミッドはなぜこの順番?
  4. 職業準備性は将来のキャリアを考えるヒント
  5. まとめ:職業準備性を整えることの大切さ

ではさっそく「職業準備性(就労準備性)とは」についてみていきましょう。

職業準備性(就労準備性)ピラミッド

1.職業準備性(就労準備性)とは?

そもそも職業準備性(就労準備性)とは何か、という部分にまずは触れたいと思います。

厚生労働省の『職業的アセスメント ハンドブック』では以下の様に説明されています。

“職業準備性とは、「職業生活に必要な個人的な諸能力が用意されている状態」(松為,2020)と言われるものです。これは、個人と環境の関係性を観点として持つ就労支援において重要な視点です。”

少し表現が難しいですが、私はこの職業準備性は、「個人が社会生活を送る上で、生活全般の安定や、また将来の可能性を広げるためのスキル(要素)」なのではないかと感じています。

というのも、職業準備性には、職業生活以外でも私たちの生活を支えるスキルが多く組み込まれているからです。

例えば、体調やストレスの自己管理、またコミュニケーション能力などは、私たちが健康に豊かに過ごしていく為に欠かせない要素です。

自己管理は、ストレスや想定外の状態になった時に対処するために必要なスキルです。この能力が備わっていることで、生活全般が安定すると思われます。

コミュニケーション能力は、他者との円滑な関係を築くために必要だと言えます。人との関わりを通して、自分自身の視野が広がり、成長や充実感につながっていくでしょう。

このように、職業準備性を整えていくことは、より健康で豊かな社会生活を支え、広げていくことができると思います。

では、この職業準備性を就労移行支援ではどのようにとらえているのでしょうか。

2.職業準備性を就労移行支援ではどのように考えているか

就労移行支援事業所では、働くために必要なスキルアップを目指し、職業準備性(就労準備性)を高めていきます。支援員との面談で方向性を一緒に考えます。

就労移行支援の現場では、よくご希望として「パソコンの資格が取りたい」「就活に有利な資格って何ですか?」といった質問をいただきます。

この場合、よくお話をお伺いして、どのような資格が良いのかを検討していきます。

その資格や職務スキルは、個人の就職活動の幅を広げることができる要素ですし、就職活動で有利に働くことでしょう。

一方で、パソコンのスキルを高めて自信をつける事ができると同じくらいに、生活リズムや体調やストレスへの自己管理を見直してみましょう

就職後に体調や生活リズムが安定していないと、遅刻や欠勤が続いてしまったり、職務に集中できず生産性が落ちてしまう…。

職務スキル以外からの影響で、その方が本来持っている力が発揮できないことは大変もったいないことです。

また、ご本人としても病気や症状の悪化の原因となりますので、職業準備性は、できるところから整えていくことをおすすめしています。

就労移行支援ではこのように、その方が本来持っている力を存分に発揮できるように、職業準備性をバランスよく整えていく為のサポートをさせて頂いています。

就労移行支援事業所では、あなたに必要なスキルを高めるため、訓練の振り返りを含め面談を定期的におこないます。

では、職業準備性が「なぜピラミッド型で表現されているのか」、はたまた「なぜこの順番になっているのか」についてみていきましょう。

3.職業準備性ピラミッドはなぜこの順番?

職業準備性はピラミッド型で表現され、下位のスキルが上位のスキルを支えている形になっています。

職業準備性(就労準備性)ピラミッドは下位のスキルが上位のスキルを支える形になっています。

ご覧になっていただくとわかるように、職業準備性ピラミッドは5つの要素で構成されています。

ではなぜこの順番で下から積みあがる形で表現されているのでしょうか。

就労移行支援の現場では、「体調が悪くなり、仕事に行けなくなってしまった」というご相談を受けることがあります。そのとき私たちは、少し詳しくお話を伺います。

話を伺ってみると、

といった経緯が隠れていることがあります。

心と身体の健康管理は働く上での土台となるスキルです。服薬の管理や生活リズムの維持について、私たちは一緒に考えていきます。

この場合ですと、ご本人と一緒にお薬の管理方法や睡眠のリズムを見直したり、職場で相談がしにくいと感じた部分についてお話を伺いどうすればいいか検討していきます。

このような経験を通して、ご本人が自己理解を深められ、自己管理の方法を習得され、困りごとに対して一つ一つ対処ができるようになることで、徐々に生活の基盤が整ってきます

生活の基盤を整えることは、安定した職業生活を支えているのです。

その為、この下位にあるスキルは、働くための土台となるスキルと言われています。

職業生活を送るうえで必要な基本的労働習慣も、就労移行では様々な方法で高めていくことができます。

上位のスキルである基本的労働習慣は、職場での効率的な業務遂行とチームワークの強化に必要なスキルです。例えば、報告・連絡・相談ができること、ビジネスマナーや集中力や体力の維持など、安定した職業生活を送るために大切なスキルです。

職業適性は、長期的なキャリア形成に必要なスキルです。職務に必要な知識や技術を身につけていくことは、その方のキャリア形成に影響します。ご自分でどんな仕事に就きたいか、キャリアを積んでいきたいか考えるときに大切な要素です。

このようにスキルの中身を見ていくと、土台となる部分は、生活基盤を安定させるためのスキル、次に職業生活を安定させるためのスキル、最後に将来の自分に向けてスキルと積み重なっていることがおわかりいただけたでしょうか。

職業準備性ピラミッドがこの順番になっている理由は、生活全般の安定が就業生活を支える大切な要素となっているからなのです。

4.職業準備性は将来のキャリアを考えるヒント

職業準備性を高めることはキャリアアップにもつながります。

職業準備性を整えていくことは安定した職業生活を支えていると先程お話したかと思います。

安定した職業生活の中で、ご本人の強みや人柄などを職場で評価されることによって、環境によってはリーダー職を目指すなど、キャリアアップにもつながります。

もともとコミュニケーションが苦手で自分の弱みと話されていた方が、就労移行支援で苦手を克服し、現在職場でリーダー職として活躍されていますので少しご紹介させていただきます。

この方はアクセスジョブのプログラムを通して様々なコミュニケーションスキルを学び、中でもグループワークに積極的に参加されておりました。

プログラムで学んだことはすぐに実践され、ご家庭でもご家族さま相手に練習をされていたそうです。

その様な努力の結果、アクセスジョブ利用中には、新しい利用者さんと積極的にお話をしていただいたりと、コミュニケーション力を活かした役割を担う様になりました。

最終的には通所開始当初の「弱み」であった「コミュニケーション」が、就職活動を開始した時には「強み」としてアピールすることができていました。

その強みを認められ、現在は希望していた企業で他のスタッフをまとめるリーダー職として活躍をされております。

コミュニケーションの力を向上させたことで、それが強みになり、リーダー職についたかたのエピソード

現在も、就労移行支援で学んだスキルを今も職場で活かして頑張っていらっしゃいますし、就労移行支援で取った資格を活かした業務にも携わり、生き生きと働かれています。

リーダー職としての悩みもあるそうですが、上司や就労移行支援のスタッフに相談しながら、次のステップに向けて頑張っていらっしゃいます。

「職業準備性を整える」ことで、この方はご自分に自信が持てたと仰っていました。その自信が、ご自分のキャリアや将来への希望に繋がっているのではないかと思います。

5.まとめ:職業準備性を整えることの大切さ

職業準備性を整えることの大切さ

いかがでしたか?

私は冒頭で、職業準備性について、「個人が社会生活を送る上で、生活全般の安定や、また将来の可能性を広げるためのスキル(要素)」なのではないかと感じているとお話しました。

長くなりましたが、その理由を様々な側面からご説明いたしました。

職業生活を送る上ではもちろんですが、職業準備性を整えることは、私たちが健康で豊かな生活を送っていく為に、とても大切なことなのではないでしょうか。

📢次回は少し詳しく、下位スキルの心と身体の健康管理についてお話できればと思います。

就労移行支援事業所「アクセスジョブ」ではいつでも見学や無料体験を受け付けています。

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