コラム「障がい」と「仕事」
【障がい特性】高次脳機能障がい/難病について
2023.08.28
こんにちは。
今日は「高次脳機能障がい」と「難病」についてご説明いたします。
人間ならではの高度な脳の働きで、注意を払ったり、記憶・思考・判断をおこなったりする機能、これらの機能を失ってしまうのが「高次脳機能障がい」です。
病気や事故で脳が大きく傷ついてしまい、脳がうまく働かなくなる状態のことです。
外見からは障がいがあると分りにくいため、ご本人やご家族は周囲の理解を得られないことも多いです。
お住いの都道府県には相談窓口がありますので、まずはご相談してみるといいですね。
「難病」は、医学的に明確に定義された病気の名称ではありません。
いわゆる「不治の病」に対する社会通念として用いられてきた言葉です。
発病の原因が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な病気です。
難病患者の方に対しては就労支援として、難病相談支援センターと連携した難病患者就職サポーターがあります。
また厚生労働大臣が指定する指定難病には医療費助成制度もあります。
定期健診や自己管理に加えて、職場の配慮等があれば課題を克服し働けるようにもなります。
仕事を通して、社会との関係や生きがい、経済的自立を実現している方は多くいらっしゃいます。
高次脳機能障がいの原因と症状
最も多い原因は脳血管疾患で、次に多いのが外傷性脳損傷です。
そのほか低酸素脳症などの原因があります。
・脳血管疾患:脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」、血管にできた動脈瘤(りゅう)が破裂する「くも膜下出血」など。
・外傷性脳損傷:交通事故、スポーツ事故、転倒・転落などが原因での障がい。
・そのほか:低酸素脳症、脳腫瘍、脳炎など。
高次脳機能障がいは、症状が現れていても、外見上はあまり目立ちません。
そのため、障がいがあることを本人や周囲の人が気づくまでに時間がかかりがちです。
例えば、交通事故に遭い、入院治療中は何事もなかったのに、退院して職場に復帰したら、以前はできていた仕事ができなくなっていたというケースがあります。
症状としては脳のどこに損傷を受けたかによって違いがあらわれます。
例えば前頭葉は、注意・思考・感情のコントロールや、物事の整理・処理をする機能を担います。
頭頂葉は触覚、側頭葉は聴覚、そして後頭葉は視覚をつかさどります。
おもな症状には次のようなものがあります。
・注意障がい:周囲が気になる。簡単なミスが多い。仕事に集中できない。
・記憶障がい:昨日どこに行ったか覚えていない。仕事が覚えられない。
・遂行機能障がい:計画的に行動できない。優先順位が付けられない。 臨機応変に対応できない。
・社会的行動障がい:意欲がわかない。怒りやすい。こだわりが強くなる。
・失語症:言葉がでてこない。字が読めない。
高次脳機能障がいの治療と対処法
治療は症状に合わせたリハビリテーションが中心です。
その上で、働く為には次のような対処法が大切になります。
・注意障がい:休息をこまめにとる。出来るだけ静かな環境を整える。
・記憶障がい:メモをとる。スケジュールを記入し確認する。繰り返し練習し、習慣化させる。
・遂行機能障がい:ゆとりをもって計画を立てる。手順書を用意し、確認しながら作業を進める。
・社会的行動障がい:好きなことを日課に取り入れる。イライラしたらまずは一呼吸する。
・失語症:物や絵、身振り、手振りを利用する。
本人だけの対処法では全てを解決することはできません。
職場の人や家族が理解し、一つ一つの症状に心から対応していくことが大切です。
周囲の方が本人の意志や役割を尊重する取り組みが必要になってきます。
難病の定義と指定難病
厚生労働省の資料では難病法において難病を次の特徴で定義しています。
・発病の機構が明らかでない。
・治療方法が確立していない。
・希少な疾病である。
・長期の療養を必要とするもの。
難病の中でも適切な医療の確保を図る必要性が高いもので、次の要件を満たし、厚生労働大臣が指定したものを「指定難病」といいます。
その数は令和3年11月1日には338疾病となりました。
・患者数が一定の人数(おおむね人口の0.1%)に達しないこと。
・客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること。
患者数が多いものでは潰瘍性大腸炎やパーキンソン病関連疾患などがあります。
【障がい特性】高次脳機能障がい/難病 まとめ
高次脳機能障がいの方、難病の方はそれぞれの症状の特徴をご本人や周りの人が理解し、適切な配慮のもとで就労に就かれています。
高次脳機能障がいの方は、障がいの状況(受傷の状況)によって、各障害者手帳の対象になることが考えられます。
手足の麻痺や言語、視野の障害があるときは身体障害者手帳、発達期(18歳未満)に受傷したときは療育手帳、記憶や注意機能や社会的行動上の障がいがあるときは精神保健福祉手帳が考えられます。
障害者手帳を交付されている方は、自治体や企業などから様々な支援やサービスを受けることができます。
難病の方は、病気の診断結果がわかった後は、今後の生活や就労に関して不安を抱くことが多いと思います。
各都道府県には難病相談支援センターが設置されていますので、療養や就労に関してまずはそちらに相談してみることが大切です。
その一歩がより良い生活や就労にむけてのスタートになると思います。
アクセスジョブにご連絡いただけた場合も、地域の関連専門機関と連携をとりながら、より良い暮らしに向けて一緒に取組みさせていただきます。
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📢次回は9/4月曜日 「頼れる制度と機関」について掲載予定です。
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